ニュースの概要
Excite Newsは、『有吉ゼミ』をはじめとする日本の大食い番組で、出演者が途中で苦しそうな様子を見せながら、最後には余裕を持って完食する流れが定番になっていると報じた。ギャル曽根さんの食べ切りの場面が例に挙がり、視聴者が結果を先に予想できてしまう構成だと指摘されている。一方で、テレビ東京の『デカ盛りハンター』のように、大食い系の企画は今も一定の人気を保っている。番組側には、純粋な競技性だけでなく、出演者の反応や背景の物語を組み合わせ、最後まで見てもらう工夫が求められるという内容である。結末が読めることをどう扱うかが論点になっている。
引用元: 『有吉ゼミ』など大食い番組の定番演出に視聴者が違和感(Excite News)
分析・見解
「苦戦から完食」は安心して見られる型として定着した
大食い番組では、序盤は余裕を見せ、中盤で苦戦し、終盤に巻き返して完食する流れが多い。時代劇の勧善懲悪に近い型である。結末が分かっているので、家族で安心して見られる。放送はゴールデン帯が中心で、幅広い年齢層が同時に見る。失敗して終わる後味の悪さは避けたい。制作側の判断としては合理的だ。
ただし、この安心感は両刃の剣になる。視聴者は何度も見るうちに、苦しそうな顔も演出の一部だと学習する。ギャル曽根さんのように実績が知れ渡った出演者ほど、どうせ食べ切るという予想が先に立つ。つまり、型の完成度が高まるほど、驚きは薄れていく。
競技性が薄まると、苦戦の表情が演技に見えてしまう
大食いは本来、胃袋の限界に挑むスポーツに近い。マラソンが面白いのは、途中で棄権する可能性が本当にあるからだ。ところが番組では、量や制限時間が出演者の実力より少し易しめに置かれていることが多い。成功しやすい設定で苦戦を演じれば、緊張感は偽物に映る。苦戦の表情が本物かどうかを疑われた時点で、視聴者の心は画面から少し離れてしまう。
かといって実力勝負に寄せすぎると、失敗の場面が増える。食べ物を残す映像は、食品ロス(=食べられるのに捨てられる食品)への批判を招きやすい。番組が安全運転になるのには、こうした構造的な理由がある。
『デカ盛りハンター』型は店を主役にして違和感を避ける
テレビ東京の『デカ盛りハンター』のような番組は、挑戦者より店や料理に主役を移している。店主の人柄、巨大メニューが生まれた経緯、地元客の反応が軸になり、完食できるかどうかは物語の一部にすぎない。結果が読めても、別の見どころがあるので飽きにくい。
この点は、動画配信の大食いにも通じる。動画では完食が前提で、食べ方の工夫や味の感想、挑戦までの準備が視聴の理由になる。テレビは結果の意外性に頼りがちで、動画は過程の面白さで勝負している。そこに差が出ている。
結果を当てる楽しみへ変えれば、読める展開も遊びになる
結果が読めること自体は、必ずしも悪くない。スポーツ中継は、結果が分からないからだけでなく、ひいきの選手を応援する楽しみがあるから成り立つ。大食いでも、視聴者が完食までの時間を予想して参加できる形にすれば、読める展開が逆に遊びになる。
予想投票、残り時間の表示、食べるペースの数値化は、すでに他のバラエティで使われている。大食い番組もこうした参加型の仕掛けを足せば、定番の型を残しつつ新鮮さを保てるだろう。ただし、あおりすぎると本来の食べっぷりの魅力が薄れるため、加減が大切だ。
ビジネスへの影響
制作側は完食以外の見どころを三つ以上用意する
番組企画では、結果の意外性だけに頼らない設計が要る。たとえば、挑戦前の準備、食べ方の工夫、店側の事情、出演者同士の駆け引きなど、見どころを三つ以上置く。どれか一つが読まれても、ほかの要素で引っ張れる。出演者側の事務所にとっても、苦戦と完食だけのイメージに固定されないよう、料理の知識や食べ方の解説など別の持ち味を見せる場を増やすことが長い目で有効だ。
あわせて、難易度の設定を見直したい。成功率が高すぎると緊張感が出ず、失敗が続けば食品ロスの批判を受ける。残した分の扱い(寄付、スタッフでの分配など)を先に決め、そのうえで実際に失敗もあり得る量を設定するのが妥当だ。
飲食店や自治体は挑戦メニューに物語を添えて売り出す
デカ盛りを出す飲食店にとって、テレビ露出は集客の大きなきっかけになる。ただ、完食者の映像だけでは他店と差がつかない。メニューの由来、価格の根拠、店主のこだわりを一枚の資料にまとめ、取材側に渡せる状態にしておくと採用されやすい。地域の観光協会が連携し、店めぐりのスタンプラリーにするのも一案だ。さらに、挑戦者が食べ切った後の売上や来店客数を店側が記録しておけば、次の企画や補助金の相談でも説得力のある材料になる。
広告主や配信側は視聴率以外の参加指標で効果を測る
広告主は視聴率に加え、見逃し配信での視聴完了率や、SNSでの予想投稿数も見るとよい。結果が読める番組でも、参加が増えていれば広告としての価値は落ちていない。逆に投稿が減ってきたら、型の寿命が近いサインと考えられる。
いきなり全面導入せず、特番で予想企画を数回試し、数字を比べてから本格採用する進め方が無難である。小さく試せば、失敗しても傷は浅い。