ニュースの概要
食品大手のマース(Mars)が、2036年に向けて食と栄養をめぐる消費者の行動がどう変わるかを予測した。柱となるのは四つの流れである。食物繊維を重んじる意識、AIを使った栄養管理、一人ひとりに合わせた食品、そして手軽に食べられる食事だ。あわせて、ひとりで食事をする機会が増えることも、商品づくりや売り方に影響すると見ている。大食いとの直接の関わりは薄いものの、食事の楽しみ方や栄養への関心が変われば、大食いの催しや動画の見られ方にも波及しうる。
引用元: マース、2036年の食と栄養を予測 食物繊維・AI・個別化が食習慣を変革(FoodNavigator)
分析・見解
「量を食べる」から「中身で選ぶ」へ向かう食の価値観
マースの予測でまず目を引くのは、食物繊維への注目である。これまで健康食品の主役はたんぱく質だった。次の十年は、腸の調子を整える食べ方が中心になるという見立てだ。
この流れは、大食いとは正反対の方向を向いている。大食いは、短時間に大量のカロリーを入れる行為だからだ。食物繊維は満腹感が長く続くため、同じ量でも「食べきれない」と感じやすくなる。挑戦メニューの設計そのものが変わる可能性がある。
AIによる栄養管理が、挑戦者の体調管理を変える
AIが食事の記録や栄養の過不足を自動で見てくれる環境は、すでに一部の人にとって当たり前になりつつある。血糖値を常に測る小型の機器と組み合わせれば、食後の体の反応まで数字で分かる。
大食いの出場者にとっては、これは新しい道具になる。たとえば、大量に食べた翌日の食事をAIが自動で調整する。体への負担を数値で示せれば、競技としての安全性の説明もしやすい。一方で、観客の側が「この食べ方は体に悪い」と数字で突きつけられる時代にもなる。娯楽として見せる側は、その批判を受け止める準備が要る。
個別化が進むほど、みんなで同じ量に挑む体験が貴重になる
食品が一人ひとりに合わせて作られる時代には、「同じ皿を、同じ条件で食べる」ことの価値が相対的に上がる。個別化の裏返しである。
似た例は音楽にある。配信で自分専用のプレイリストが当たり前になった結果、同じ時間に同じ場所で聴くライブの価値が高まった。大食いの大会も同じ位置づけになりうる。個別最適な食事が日常になるほど、非日常の共有体験として選ばれる余地がある。
一人飯の増加は、動画配信の需要を押し上げる
マースが挙げた「ひとりで食べる機会の増加」は、大食い動画にとって最も直接的な追い風だ。誰かが食べる様子を見ながら食事をする習慣は、すでに「食事の同席感」を求める視聴者に支えられている。
ひとりで食べる人が増えれば、画面の向こうに食卓の相手を求める需要も増える。大食い配信は、迫力だけでなく、にぎやかさや安心感を売る方向に伸びる余地がある。ただし、視聴者が見たいのが大量の食事なのか、食事中の会話なのかは、配信者ごとに分かれる。数字をよく見て、自分の強みを見極める必要がある。
ビジネスへの影響
大会・イベント運営は、栄養と安全の説明を先に用意する
健康意識が高まる流れの中で、大食いの催しは「体に悪い見世物」と見られるリスクが増す。対策として、事前の健康確認、完食後の補水や休息の案内、食材の栄養内容の公開を標準にしたい。これは批判をかわすためだけでなく、スポンサーや自治体と組む際の信頼材料になる。
また、食物繊維を多く含む食材を使った新しい挑戦メニューを試す価値もある。見た目は同じ量でも、食べる難しさが変わるため、競技として新鮮な盛り上がりを作れる。
動画配信者は「ひとりで見る人」を意識した作りに寄せる
一人飯の視聴者が増えるなら、動画の長さや話し方も変える余地がある。食事の時間帯に合わせた生配信、視聴者の食事に話しかける進行、静かな環境音を活かした編集などが候補だ。
広告面では、手軽な食品や個別化サービスを扱う企業との相性がよい。視聴者が「自分の食事の延長」として見ているため、商品紹介が自然に届きやすい。まずは小さな企画で反応を測り、数字を見ながら広げていくのが現実的である。